世界自然遺産屋久島山岳部環境保全協力金の導入

2008年(平成20年)より屋久島山岳部利用対策協議会(当時)での検討を踏まえた「屋久島山岳部保全募金」が導入され、その後関係機関の合意および屋久島町議会での「世界遺産屋久島山岳部環境保全協力金条例」の議決を経て、2017年(平成29年)より導入されたのが「世界遺産屋久島山岳部環境保全協力金」(以下協力金と記載)です。

これらの募金・協力金は、かつて埋設処理されていた山岳部トイレの「し尿」の搬出作業や登山道の維持管理など、山岳部の環境負荷の軽減や利用体験の向上に役立てられています。

協力金の詳細

目的

世界自然遺産地域をはじめとする屋久島の山岳部の自然環境を将来にわたって保全するため、山岳部に入山する者や自然環境保全の取組に賛同する者の協力により、トイレや登山道等の利用施設の維持管理と、安心で安全な自然体験の環境整備を行うこと

具体的な使い道

  • 山岳トイレの維持管理経費
  • 携帯トイレブースの維持管理経費
  • 登山道(トロッコ道も含む)の点検及び軽微な補修費
  • 山岳地域の安心安全のための諸活動にかかる経費
  • 奥岳をはじめ山岳地域の普遍的価値を損なわないマナーや利用ルールの啓発にかかる経費
  • 協力金の収納にかかる経費及び事務局経費
  • 町道荒川線のマイカー規制等に係る経費
  • その他山岳部の自然環境を良好に保全する経費

対象者

屋久島の世界自然遺産地域に登録されている奥岳をはじめ、山岳地域に入山しようとする者及びこの制度に賛同する者

金額

一人あたり日帰り利用者は1,000円、山中で宿泊する利用者は2,000円を基本する(ただしそれ以外の金額も収納可能)

協力金納入の推進と還元の仕組み

協力金の納入は任意ですが、町内の観光事業者協力店(ガイド・宿泊施設・お土産店等)において協力者証を提示し利用することにより特典やサービスを受けることが可能となっています。
それにより納入者は協力店を利用することで支払った協力金以上の特典を受けることも可能であり、また協力店(特典事業者)に対しては行政が「エコツーリズムの店」の認証を行い広報支援を行う取り組みを行っています。

『世界自然遺産屋久島山岳部環境保全協力金』の理念

屋久島山岳部保全利用協議会ホームページより引用

屋久島は1993年に我が国で初めて世界自然遺産に登録されました。
そして今年は、縄文杉の存在が世に知られてから50周年の節目を迎えます。
現在、屋久島では、世界自然遺産登録を契機に屋久島の将来のあり方を示した「屋久島憲章」や、世界自然遺産登録20周年に宣言した「屋久島からのメッセ-ジ」の精神に基づき『エコツ-リズムによる世界自然遺産「屋久島」の価値創造と観光立町』に取り組んでいます。

私たちは、世界自然遺産として評価された屋久島の美しい自然景観を人類共通の財産として後世に受け継ぎ、「いつでも・どこでも・おいしい水が飲め、人々が感動を得られるような水環境の保全と創造」を大きな目標としています。そのためには、屋久島にお越しいただくお客様、観光事業者、行政が一体となったエコツーリズムを目指すことが、その目標の実現に近づくものと考えています。屋久島にお越しいただくお客様や屋久島の豊かな自然環境の保全に関心がある方々には、一人でも多く今回の協力金制度の取組や趣旨にご賛同いただきたいと考えています。

このことから、私たちは、平成29年3月から、地域が一体となって地域経済と環境保全をリンクさせた人と自然が共生する屋久島方式の持続可能なエコツ-リズム事業として、『世界自然遺産屋久島山岳部環境保全協力金事業』に取り組みます。

観光などで屋久島にお越しになるお客様のうち、この協力金の趣旨にご賛同いただける方は、世界で唯一の価値を有する屋久島の環境保全にご協力ください。皆様から納入頂いた協力金は、屋久島山岳部の環境保全活動や登山客の皆様の安心で安全な自然体験を提供する資金として有効に活用することとしています。

島内の観光事業者は、この協力金にご協力いただいた方に、ガイドツアーや宿泊所などにおいて、特典を提供(還元)し、屋久島観光の大きな柱となっている世界自然遺産地域などの自然環境保全に役立てるため、観光で得られた収入を環境保全に充てる取り組みを積極的に進めます。

私たちは、以上のような取組を通じて、屋久島にお越しいただく方々だけでなく、関心をお持ちの方々も含め「観光客・観光業者・行政」が一体となって、それぞれの責任と役割を担うという、新たな屋久島方式の持続可能な環境保全と観光利用のあり方を目指しつつ、名実ともにエコツーリズムの島づくりに繋げたいと考えています。お一人でも多くの皆様のご賛同をいただくようお願いいたします。